[メイン] 根津 次郎 : 〇オープニングチャプター
とある街はずれにひっそりと佇む温泉旅館。
そこには4人の宿泊客が、慰安旅行に訪れていた。
温泉や食事を満喫する者もあれば、温泉卓球に勤しむ者、はたまた疲れて寝てしまっている者もいるだろう。
しかし、そんな平穏は突如終わりを告げる。

「きゃあああああああ!!!!」

一人の女性の、悲鳴によって。

[メイン] 根津 次郎 : 主演、助演:指定なし

[メイン] 根津 次郎 :  

[メイン] 根津 次郎 :  

[メイン] 根津 次郎 :  

[メイン] 根津 次郎 : そんなわけでだ、俺達は温泉宿に来たんだ。
どんなわけかって?んなつまんねーもん説明したって仕方ねぇだろう?

[メイン] 根津 次郎 : まぁ~~~俺もな!久々に羽根を伸ばせそうだしよォ~~!!

[メイン] 根津 次郎 : 割と気が合う奴らと、いい感じの温泉宿に泊まるってんだ!

[メイン] 根津 次郎 : 「いやーー!めっちゃここ、良い宿だよなァ~~~!!」

[メイン] 根津 次郎 : 頭の後ろに腕を回しながら、ケラケラと笑う茶髪と青眼の少年。

[メイン] ホンゴウ : 「ああ、温泉も最高だったしな」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「ああ、飯も美味かったな」

[メイン] 根津 次郎 : この宿は、古風っつーの?結構和風な感じで
趣もあるし、中々いいところでな。

[メイン] ホンゴウ : それに応えるように、顔に傷を持つイカにもといった風体の男

[メイン] 根津 次郎 : ホンゴウやジョンが言うように、温泉入ったり飯食ったりして
色々時間費やした後、こうして部屋でのんびりダラダラしてるとこだ。

[メイン] 早川アキ : 「高かったからな、色々と」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「所で宿にベットが見えないが何処で寝るんだ?」

[メイン] ホンゴウ : 「おっジョン知らねェのか。ここは布団で寝るんだぞ」

[メイン] 早川アキ : 今の時代にマゲを作り
キッチリとしたスーツを着込んだ男は値段を思い出しながら呟いた

[メイン] 根津 次郎 : 「おう!そうだぜ!それがジャパニーズ睡眠スタイルだ!」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「布団?」

[メイン] ホンゴウ : そう言いながら押入れの引き戸を引き、中にある布を見せる

[メイン] 根津 次郎 : あれ?マジで知らねぇ感じか?

[メイン] 根津 次郎 : 「なぁアキ、ジョンって日本に来てからどんくらい経ってんだ?」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「何!?床で寝るのかァ!?泊まりに来てまで!?」

[メイン] ホンゴウ : 「ああ、こいつを床に敷いて寝るんだ」
「まァ雑魚寝に慣れてるお前には抵抗あるかもな」

[メイン] 早川アキ : 「……達者な日本語だし、住んで長いと思っていたが」

[メイン] 早川アキ : 「嫌なら立って寝ろ」

[メイン] 根津 次郎 : 「どわぁああっ!?おま、急に大声出すんじゃねぇよ!!
 つか、そういうもんなんだよ!!ワビサビってやつだ!」

[メイン] 根津 次郎 : 多分!ワビサビの意味知らねーけどな!

[メイン] 早川アキ : 呆れ顔で呟くと

[メイン] ホンゴウ : はははと笑い、欠けた歯を見せる

[メイン] 早川アキ : 「本当に嫌なら、ソファなり椅子なりをベッドの代わりにするんだな」

[メイン] ホンゴウ : 「いいじゃねェか別に、船の上や戦場に比べれば寝れるだけ天国だ」

[メイン] 根津 次郎 : こいつの名はアキ、この通り、すっげぇ冷たい。

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「まあそれはそうだが…」

[メイン] 根津 次郎 : 「まぁジョン、あれだよあれ!」

[メイン] 根津 次郎 : 「日本ではな、男子だけで泊まった時に開催するゲームってのがあるんだ」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「なんだそれは?」

[メイン] 根津 次郎 : ニヤリと笑いながら、枕を手に取る。

[メイン] 根津 次郎 : 「枕戦争じゃおりゃあああああああああああッッ!!!」

[メイン] 早川アキ : 「おい、まさか」

[メイン] 根津 次郎 : アキの顔にブン投げる。

[メイン] ホンゴウ : 「いいねェ!戦争だァ!」

[メイン] 早川アキ : 「やめろっ!! お前らに振り回されて今日は眠……ぶはっ!?」

[メイン] 根津 次郎 : 「だーーーーーーっはっはっはっは!!!」

[メイン] 早川アキ : 直撃を受け、大きくのけぞり……

[メイン] ホンゴウ : ノリノリで枕を手に取り手あたり次第に投げつけ始める

[メイン] 根津 次郎 : ゲラゲラと大笑いで笑っていると。

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「枕投げか!そいつは知ってるぞ!」

[メイン] 根津 次郎 : 「ぶべらっ!?」

[メイン] 早川アキ : 「上等だッッッ!!!!」

[メイン] 根津 次郎 : ホンゴウの投げた枕がクリティカルヒットする。

[メイン] 早川アキ : 次郎に向けて投げられた枕を振りかぶって投擲し、次の枕を手に取る

[メイン] ジョン・メイトリックス : 弾ける筋肉でホンゴウに剛速球を投げる

[メイン] ホンゴウ : 「はーっはっは!おれは子供だろうが手加減しねェブベラッ!」

[メイン] 根津 次郎 : 「やべぇッ!?このままだとアキに反撃食らう!?こなくそォオッ!」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「来いよホンゴウ、銃なんて捨ててかかってこい!」

[メイン] 根津 次郎 : ひょいっ!と宙で一回転し、着地。
そのまま枕を構える!!

[メイン] 根津 次郎 : 「かかって来いやオラぁぁあああ~~~~!!!」

[メイン] ホンゴウ : 枕の直撃を受け情けなく吹っ飛ばされる…がなんとか受け身を取り、自身にぶつけられた枕を手に取る

[メイン] ホンゴウ : 「テメェなんかこわくねェ!野郎ぶっ殺してやらァ!!!!」

[メイン] 早川アキ : 「良い大人が、大声ではしゃぐんじゃねえ!!」

[メイン] 早川アキ : メイトリックスに向けて思い切り枕を投げる

[メイン] 根津 次郎 : 「だひゃひゃひゃひゃ!!アキだって大声出してんじゃねぇか!!」

[メイン] ホンゴウ : 「ぐっはァーーーーー!!!」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「ぐおっ!?」

[メイン] 早川アキ : 「お前が騒ぎ始めたんだろうが!!」

[メイン] 根津 次郎 : 腹を抱えながら大笑いをする。
大人が混ざりながらも、中学男子のような遊びを楽しむ一行。

[メイン] 根津 次郎 : その時─────。

[メイン]   :  

[メイン]   : 「きゃあああああああ!!!!」

[メイン]   :  

[メイン]   : 平穏は突如終わりを告げる。

[メイン]   : 一人の女性の、悲鳴によって。

[メイン] ホンゴウ : 「!」
その悲鳴に反応して、すぐさま枕を地面に捨てる

[メイン] 根津 次郎 : 「あ………?」

[メイン] 根津 次郎 : 扉の外を見やりながら、眉をハの字にする。

[メイン] 根津 次郎 : なんだァ……?今の悲鳴。

[メイン] 早川アキ : 「…今の、悲鳴は」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「…何かあったのか?」
声のする部屋に行く

[メイン] ホンゴウ : 「まァ……ロクなことじゃねェだろうな」

[メイン] 根津 次郎 : 「……うおっ!?ジョン!?待てよ!!」
一緒に着いていく。

[メイン] ホンゴウ : 念のため持ってきていた携帯式の医療セットをバッグから取り出し、ジョンと同じく部屋に向かう

[メイン] 根津 次郎 : ロクなことじゃない。ホンゴウの言葉に、根津もなんとなく察するものがあった。

[メイン] 根津 次郎 : その悲鳴の色は、少なくとも温泉で覗きに遭った時に上がるようなものではなく。

[メイン] 根津 次郎 : ─────"死の香り"が、漂っていた。

[メイン] ホンゴウ :

[メイン] ホンゴウ :

[メイン] ホンゴウ :

[メイン] ホンゴウ : ●殺人現場
ホンゴウ(主演)とアキ(助演)が現場に駆け付けると、そこには一人の男性の死体が転がっていた。
その傍で腰を抜かしている一人の女性。風貌から見るに、この旅館の女将のようだ。
死体を調べると同時に、第一発見者である彼女から情報を聞き出すことになるだろう。

★キーワード
死体、証言、「何があったんですか」

[メイン] ホンゴウ :

[メイン] ホンゴウ :

[メイン] ホンゴウ : ────平和なひと時を突如引き裂く悲鳴。その不穏な空気を感じ取り、おれとアキは慌ててその悲鳴の出所へと走る。

[メイン] ホンゴウ : ……して、その部屋には悲鳴の主であろう女将と────一人、いや、一つのモノ。

[メイン] ホンゴウ : 「………こりゃあ、観光してる場合じゃなさそうだな、アキ」

[メイン] 早川アキ : 「だろうな……見て回りたい場所がまだあったんだが」

[メイン] 女将 : 青白い顔をして、その場にへたり込んでいる。

[メイン] ホンゴウ : 「事情聴取は任せる。おれはあの人を診る……まァ手遅れな気がするがな」

[メイン] 早川アキ : 「…頼むぞ」

[メイン] 女将 : 今頃ホンゴウとアキに気づく。

[メイン] 女将 : 「…あ、あの、あなた達は…?」

[メイン] ホンゴウ : 「………まずは…事実確認……ああ、ダメだな、やはり脈がもうない」

[メイン] 早川アキ : 「俺は早川アキ、刑事です」

[メイン] 早川アキ : 「向こうのホンゴウは医者で、色々と資格を持っています。 彼に任せてください」

[メイン] 女将 : 「刑事さんと、お医者様…」
アキの言葉を聞き、少しだけほっとした顔になる。

[メイン] ホンゴウ : 「外傷は…目立ったところにはない、か。悪いな…下着を脱がせる、尊厳を破壊することになって悪いが……お前のチンチンみせてもらうことになるぞ…」

[メイン] ホンゴウ : 「………下半身にも目立つ外傷はない。だがこれでハッキリしたな。」

[メイン] ホンゴウ : そう言い、周りの床の傷に目を向ける

[メイン] ホンゴウ : 「この傷のひとつひとつに物語がある……もがき苦しんだこと。必死に助けを求めもがいたこと…察するに毒殺か」

[メイン] ホンゴウ : あらかた調べ終わり、アキと女将の元へ

[メイン] 早川アキ : メモにホンゴウの見解を書き出しつつ…

[メイン] 女将 : 「あ、あの…」
まだ混乱した様子でしどろもどろ。

[メイン] ホンゴウ : 「……女将さん、少々ショッキングな話になるが…あれは死体だ。あなたが見つけた時点で…手遅れだった」

[メイン] 女将 : 「──ッ!」
ホンゴウの言葉に表情が固まる。

[メイン] 早川アキ : 「…難しいかもしれませんが、ここで。何が起こったか話していただく事はできますか?」

[メイン] 女将 : 「…は、はい」

[メイン] 女将 : 「この部屋のお客様に、この時間になったらお料理を運んでくれと頼まれまして──」

[メイン] 女将 : 「それで、言われた通りの時間にお運びしたのですが……」

[メイン] 女将 : 「私、初めはお客様がお休みになられてるだけかと思ったのですが、いくら話しかけても返事がなくて、それで近寄ってみたら」

[メイン] 女将 : 以降は沈黙する。

[メイン] ホンゴウ : 「なるほどな……いつ殺されたのかが不明瞭だが、それさえ聞ければ十分だ」

[メイン] 早川アキ : 「証言は、あればあるだけ解決に繋がるから……ありがとうございます」

[メイン] ホンゴウ : ────ミスには面白い法則がある。
たとえば、最初に相手がミスをする。そして次に自分がミスをする。
ミスとミスで帳消しになると思いがちだが、あとからしたミスのほうが罪が重い。
まんまと被害者は罠にかかり毒殺された。これが最初のミス。しかし加害者もミスを犯した……おれ達が、この旅館にいることを知らずに計画を実行した。それが次のミス。

[メイン] ホンゴウ : 後から犯したミスによって、加害者の計画は崩れ去る。……簡単なことだ、今ここでおれ達が殺人トリックを暴くだけ。ただそれだけの話だ

[メイン] ホンゴウ : 「……じゃあアキ、とりあえずそっちは聞き込みでもするか?おれはもう少しこの部屋を調べてみるつもりだが」

[メイン] 早川アキ : 「そうさせてもらう、事前に部屋から出ないように警告しておかないとな…」

[メイン] ホンゴウ : 「そうか、よし。じゃあそっちは頼んだ」

[メイン] ホンゴウ : ────明日という日は、今日それを迎える準備をしている者のためにある。………待ってろよ犯人。何の準備もせず結果だけを待ってるお前に、希望の朝なんて来やしない

[メイン] 早川アキ : 部屋から出ようとして振り返り、愚痴るように呟く

[メイン] 早川アキ : 「…綺麗な部屋なのに、これじゃあ。もう使えないな」

[メイン] 女将 : アキのその言葉が聞こえたのか、少し顔を俯かせる。

[メイン] ホンゴウ : んじゃ、こっちはとりあえず持ち物でも調べるか───

[メイン] ホンゴウ :  

[メイン] ホンゴウ :  

[メイン] ホンゴウ :  

[メイン] 根津 次郎 : ●聞き込み
現場に駆け付けた、もしくは事件の一報を聞きつけた(主演)と(助演)は、犯人の目星をつけるべく聞き込みを開始することにした。
すると被害者の意外な一面や、この温泉旅館との関係が徐々に明らかになってくる。
―この事件、もしかすると思ったよりも複雑かもしれない。

★キーワード
警察手帳、メモ、「妙だな」

[メイン] 根津 次郎 : 主演:根津
助演:ジョン

[メイン] 根津 次郎 :  

[メイン] 根津 次郎 :  

[メイン] 根津 次郎 : 俺とジョンは、警察の関係者じゃねぇってことで、事件現場には入れてもらえなかった。
まァ……そりゃそうだろうな、警察手帳も持ってねぇんだ、立ち入る資格なんざありゃしねぇ。
とは言えど……だ、俺はちと……懸念が、あってな……。

[メイン] 根津 次郎 : ホンゴウとアキによると……殺人が行われたってんだが……。
……そうなるとよォ、警察関係者じゃねぇ俺はよ、当然……手荷物検査、されるよな?

[メイン] 根津 次郎 : となるとだ、俺の怪盗ラットとしての変装道具なり、爆弾なりがよ
……露呈、しちまう……よな?

[メイン] 根津 次郎 : ……………。

[メイン] 根津 次郎 : や、やべえええええええ………。
なんだよこれ……いつかみた地獄もいいところだろ……。

[メイン] 根津 次郎 : だが……俺はIQ280だ!!!!
こんな状況、なんてことねぇ!ひっくり返してやるよォ!!

[メイン] 根津 次郎 : つまりはだ!!犯人を見つけられりゃ、それでいいんだよな?な??

[メイン] 根津 次郎 : 「─────よぉおおおし!!ジョン!!
 俺達も犯人捜し!気合いれっぞ!!」

[メイン] 根津 次郎 : めっちゃ気合を入れる根津。そりゃそうだ、下手したら自分が怪盗だということがバレるのだから。

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「どうした?いつになく気合が入ってるじゃないか?」

[メイン] 根津 次郎 : 「え」

[メイン] 根津 次郎 : 「あ、い、いや、そりゃ、あれだよあれ!!」

[メイン] 根津 次郎 : 「この旅館に殺人鬼が混ざってんだぜ!?
 このままじゃ、もっと殺人が行われるかもだろ!?
 だ、だから、止めてーじゃん?な??」

[メイン] 根津 次郎 : ……なんとななってほしいにゃんっ。

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「それなら旅館で大人しくしてた方がいいと思うが…」

[メイン] 根津 次郎 : それはそうなんだよ、それはそう過ぎるんだよ。

[メイン] 根津 次郎 : でもそれだと不味いんだよ!!!

[メイン] 根津 次郎 : 「でもよォジョン!このまま怯えながら過ごすのと!
 犯人を見つけ!警察に突き出す!!」

[メイン] 根津 次郎 : 「どっちが幸せだ!?元コマンドーのお前なら、もうわかるだろ!」

[メイン] 根津 次郎 : 頼む!なんとかなってくれぇぇええええええええ!!!!

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「……まあ、そうだな、このままじゃ寝れないのは確かだ」

[メイン] 根津 次郎 : ………!!!

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「そして俺は今酒が入ってて眠い、さっさと終わらせよう」

[メイン] 根津 次郎 : あったけぇ……あったけぇぜ、ジョン………!

[メイン] ジョン・メイトリックス : まあ、本当の事を言うと

[メイン] ジョン・メイトリックス : 俺も銃火器持ってるから手荷物検査されるとマズいんだがな…

[メイン] 根津 次郎 : 「ああ!それに俺達が手貸せば、こんな事件、ちょちょいのちょいで!
 あっという間に解決できるだろ!」
へへへ!と調子に乗ったように笑いながら。

[メイン] 根津 次郎 : と、いうわけでだ─────俺とジョンは、色々聞き込み調査を開始したわけだ。

[メイン] 根津 次郎 : そうして場面は変わり……。
とある部屋にて。

[メイン] 根津 次郎 : 「─────つーわけで、聞き込み調査をするぜ!
 俺は……あーーー、アレだ!探偵根津次郎様だ!よろしくな!」

[メイン] 根津 次郎 : 対面する女性に、ニカリと笑う。
クッソ調子に乗ってる。

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「ジョン・メイトリックスだ、悪魔から世界を守る仕事をしている」

[メイン] 根津 次郎 : なんかいい感じのソファーに凭れ掛かりながら、すっかり警察関係者側の気分。

[メイン] 宿泊客 : ずずっと鼻をすすり、先ほどまで泣いていたのか、赤くなった目で次郎とジョンの方を見つめる。

[メイン] 根津 次郎 : 「………?」
小首を少し傾げながら、女性をじっと見て。
なんで泣いてんだ?と思い。

[メイン] 根津 次郎 : 「え、えーーと、ちょっくら事情聴取の方!
 協力お願いしても、いい……スかね?」
メモを構えながら。

[メイン] ジョン・メイトリックス : 事件があった割にはまぁまぁきれいな部屋だな…

[メイン] 宿泊客 : 「事情聴取と言われても、私もついさっき事件のことを知ったばかりで…」
顔がどんどん暗くなっていく。

[メイン] 根津 次郎 : 「………」
なんか、もしかしたら……と思いながら。

[メイン] 根津 次郎 : 「……もしかして……被害者の……?」

[メイン] 宿泊客 : 「…はい。妻です」

[メイン] 根津 次郎 : ぐはっ。

[メイン] 根津 次郎 : 何やってんだ俺ェ!!!!

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「……」

[メイン] 根津 次郎 : 被害者の遺族になんて態度しちまってんだよォ!!!

[メイン] 根津 次郎 : 「……そいつは……お気の毒に……」

[メイン] 根津 次郎 : すっかり姿勢を正し、縮こまった形になる根津。

[メイン] 根津 次郎 : しばしの静寂が流れる。
すごい重たい雰囲気になる。

[メイン] 根津 次郎 : やらかしたァ~~~~~~~~~。
全部奪って笑ってくれよマイハニ~~~~。

[メイン] 根津 次郎 : 「………あの!あれッス!」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 気まずいので炭酸水を飲む

[メイン] 根津 次郎 : 「……俺、必ずあなたの夫の仇、討つんで!!
 そのお手伝い、するんで!!」

[メイン] 根津 次郎 : 「どうか……ご協力を、お願いします!!」
頭を下げる。

[メイン] 宿泊客 : 「………」

[メイン] 宿泊客 : 次郎のその様子を見て、『頭を上げて下さい』と声をかける。

[メイン] 根津 次郎 : 初手クッソ失礼な態度取ったばっかだし……これ、やっぱ駄目だよなぁ……。
と思っていると、女性の声に耳がピクリと。

[メイン] 根津 次郎 : 「……」
ゆっくりと顔を上げ、女性を真剣な眼差しでじっと見る。

[メイン] 宿泊客 : 「私も協力したいのはやまやまなのですが、先ほども言ったように、事件のことを──旦那様の亡くなったのを知ったのはついさっきなので、参考になることはほとんどないと思いますが、それでも良ければ…」

[メイン] 根津 次郎 : 「!! いえいえ!それでも全然良いッス!!」

[メイン] 根津 次郎 : 何度も頷きながら。

[メイン] 根津 次郎 : 「あなたの証言で、この事件は解決に近づけるんで!!
 ……どうか、力を貸してくださいッス!」

[メイン] 根津 次郎 : 怪盗のクセにどんな立場で言ってるんだという話であるが。
勝負ごとは冷静さを失ったら負けだ。

[メイン] 宿泊客 : 「……わかりました」
こくりと頷き、言葉を続ける。

[メイン] 宿泊客 : 「この旅館、近々取り壊されるらしくて、新しく旅館を建てるのが旦那様だったのです」
「それで、下見も兼ねて、一緒に泊まりに来たのですが…」

[メイン] 根津 次郎 : 「なっ……!?そうだったのか……!?」

[メイン] 根津 次郎 : 「いや、待てよ……妙だな─────?」
顎に手をやりながら、訝しげに思うような表情を。

[メイン] 根津 次郎 : ホンゴウとアキによると、第一発見者はここの女将で……。

[メイン] 根津 次郎 : あとは……毒殺、つってたよな─────?

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「そうだったのか…?とても取り壊されるような施設には見えなかったな…」

[メイン] 根津 次郎 : 「………そいつは、貴重な情報ッス、本当にありがとうございます」
女性に再度、頭を下げながら。

[メイン] 根津 次郎 : ジョンの言葉にも頷く。

[メイン] 根津 次郎 : 古めかしい旅館ではあるものの、趣のある旅館として運営はできる範疇にある。

[メイン] 根津 次郎 : それを立て壊しにするという話があるというのなら─────。

[メイン] 根津 次郎 : ─────この事件、もしかすると思ったよりも複雑かもしれない。

[メイン] 根津 次郎 : 「………失礼ながら、お名前を聞いても?」
女性を見て。

[メイン] 宿泊客 : 「私の、ですか?」

[メイン] 根津 次郎 : こくりと頷く。

[メイン] 宿泊客 : 「……どんぎつねといいます」

[メイン] 根津 次郎 : 「どんぎつねさんか、覚えたぜ
 ……再度言うが、あんたの夫の仇は、必ず討つ」

[メイン] 根津 次郎 : 真っ直ぐと青の瞳を向けながら、立ち上がり。

[メイン] 根津 次郎 : 「─────俺からは以上だ、ジョンからは何かあるか?」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「…いや」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 妙だな…女性なのにドンなのか…?

[メイン] 根津 次郎 : ……ジョンはジョンで、何か感付いてるもんがあるんだろうな。
元コマンドーだぜ?その洞察力は測りしれねェ。

[メイン] 根津 次郎 : …………。
……ワンチャン、俺の正体とかも……バレてたり……しねぇ、よな?

[メイン] 根津 次郎 : ハハ、まさかなっ!

[メイン] 宿泊客 : 次郎の言葉に、少しだけ表情を明るくし、2人の方を見つめる。

[雑談] system : [ ジョン・メイトリックス ] キーワード : 0 → 3

[メイン] ジョン・メイトリックス : ●情報整理
現場調査と聞き込みを終えた(ジョン)と(ホンゴウ)は、一度情報を整理するべく自室に戻ることにした。
手に入れた様々な情報を広げ、ああでもないこうでもないと考える。
そうしていると、ふと一つの可能性が見えてきた。

★キーワード
現場の写真、聞き込みの情報、「もしかしたら…」

[メイン] ジョン・メイトリックス :  

[メイン] ジョン・メイトリックス :  

[メイン] ジョン・メイトリックス : そんなわけで自室に戻り色々と考え込むジョンとホンゴウ

[メイン] ホンゴウ : 「まァ色々調べてみたが…毒殺なのは間違いないな」

[メイン] ホンゴウ : 現場の写真を見せつつ、ジョンにそう説明する

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「うん…やはり現状分かっていることはそれだけか…」

[メイン] ホンゴウ : 「……死んだ時間についてはハッキリしねェ。部屋にエアコンが掛かっててな、死後硬直の時間がずれちまってる」

[メイン] ホンゴウ : 「まァ見つかるのも早かったし、死後一時間も経ってねェとは思うぞ」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「せめて毒物の種類でも分かれば…ん?」

[メイン] ホンゴウ : 「ん?どうした?」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「……なんだ?あの汚れ」

[メイン] ジョン・メイトリックス : ジョンが指さすその先には

[メイン] ジョン・メイトリックス : 緑色の怪しい粘液

[メイン] ホンゴウ : 「……生憎鑑識じゃないからな、調べられねェし触りたくも無いぞ」

[メイン] ジョン・メイトリックス : その粘液は天井から垂れていた

[メイン] ジョン・メイトリックス : 上を見ると

[メイン] ジョン・メイトリックス : まるで推定刃渡り2億センチの様な惨い傷跡

[メイン] ホンゴウ : それを見て、どこか冷めた表情を見せる

[メイン] ホンゴウ : 「あー………もしかしてこれ、怪物でも絡んでんのか?」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「…ああ、もしかしたら」

[メイン] ホンゴウ : 困ったように頭を掻く

[メイン] ホンゴウ : 「不思議生物はサスペンスにおいては禁じ手だろうが…」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「…だが相手が人間じゃないならこちらもやり易い」

[メイン] ホンゴウ : 「……ああ、そうだな。何で休暇なのにこんなことに巻き込まれてんのかは知らねェが…」

[メイン] ジョン・メイトリックス : そうしてカバンから荷物を…

[メイン] ジョン・メイトリックス : キュ バッ ジャキッ

[メイン] ジョン・メイトリックス : ヌリヌリ…

[メイン] ジョン・メイトリックス : テテテテテテテテテテ…

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「休息も慈悲も与えぬ。何があってもだ。」

[メイン] ホンゴウ : 「ああ、そうだな」

[メイン] ジョン・メイトリックス : デェエエエエエエエン

[メイン] ホンゴウ : バックから武器とするための伸縮型の棒を取り出す

[メイン] ホンゴウ : 「おれ達の邪魔をするなら死ね……怪物」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「哲学ゾンビでも何でも来い!鉛玉けつあな確定だ!」

[メイン] ホンゴウ : ……良かったな被害者の男。普通だったら見捨てられてはいる状況だ。だが今回は、誰もいない訳じゃなかった。おれ達がいた

[メイン] ホンゴウ : 「んじゃあまあとりあえずは写真と痕跡でも調べるか…これだけの傷跡を残しておいて見つけらんねェってことは透明なのか、おれ達が認識できねェのか…考えないとな」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「だな…だが相手が”敵”なら探す方法も増える」

[メイン] ホンゴウ : と、ここで思案していたホンゴウだが、とあることに気が付く

[メイン] ホンゴウ : 「待てよ、もしかしたら…」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「…どうした?」

[メイン] ホンゴウ : 「……最初に被害者を発見したのは女将だ。」

[メイン] ホンゴウ : 「………そして、あの部屋には少なくとも痕跡は残ってなかった。さっき言ったように被害者の死亡時刻も特定できていない」

[メイン] ホンゴウ : 「つまり……あの女将はその怪物が関わった証拠を消す時間があり、その間のアリバイを立証できないってことだ」

[メイン] ホンゴウ : 「それにこんな傷跡、最初におれ達が来た時にはなかっただろう?」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「ああ、見覚えが無いな」

[メイン] ホンゴウ : 「つまりあの時、おれ達が調べていた間にこの部屋に怪物が来たんだ。となるとやはり……現場発見者の女将が怪しいところがある。まァ言いがかりに近いことはわかってるが相手は常識が通用しねェんだしな」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「鍵を握るは…女将か」

[メイン] ホンゴウ : ……と、その時。

[メイン] ホンゴウ : 「ジョン!今窓に!窓に奴の痕跡が出来た!」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「……!」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 窓を見る

[メイン] ホンゴウ : そこには、謎の液体の滴る跡

[メイン] ホンゴウ : 「……近くにいるってことだ。まずいな…一回この部屋から出るか?」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「そのようだな…そうしよう、それにこの情報を早く2人に知らせなくては」

[メイン] ホンゴウ : 「よし…出るか。カバーは任せろ」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「ああ、任せたぞホンゴウ」

[メイン] ホンゴウ : ……毒殺は間違いない。とすると、あの怪物は毒を持っている。今何の対策も無しに相対するのは…まずいからな

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン] ??? :  

[雑談] system : [ ジョン・メイトリックス ] キーワード : 0 → 6

[メイン] 早川アキ : 邪魔者現る
情報を整理し、一つの結論にたどり着いた(主演)と(助演)。
そんな折、部屋の扉を勢いよく開ける音が響く。
「あれぇ、●●課の人じゃありませんかぁ。容疑者だってのに呑気なもんですねぇ」
それは同じ警察署の、少々厭味ったらしい刑事だった。

★キーワード
嫌な視線、顔をしかめる、「邪魔をするな」

[メイン] 早川アキ : 主演:早川アキ
助演:根津次郎

[メイン] 早川アキ :  

[メイン] 早川アキ : 「……全くどうなってるんだ」

[メイン] 早川アキ : 額を抑えながら、厄介事を伝えてきた機器を置き椅子に座り込む

[メイン] 早川アキ : 何やらメイトリックスとホンゴウは化け物がいると推察した様だ。
“悪魔”の可能性もあるが、単なる殺人事件でさえ無いのか……

[メイン] 根津 次郎 : 困惑するアキとは対照的に、隣に座る少年、根津次郎はというと
─────冷や汗をかきながらも、ニヤリと、笑みを浮かべていた。

[メイン] 根津 次郎 : ……おいおいおい、マジかよ、これが真実ってのかよ。
ホンゴウも、ジョンも、アイツらは嘘を吐くような男じゃねぇ。

[メイン] 根津 次郎 : コイツが真実ってんなら……。

[メイン] 根津 次郎 : 「─────まずは犯人は女将、だろうなこりゃ?」

[メイン] 根津 次郎 : 椅子に座りながら、足を組み、アキの方を見やる。

[メイン] 早川アキ : 「推察だとな」

[メイン] 根津 次郎 : そして肩を竦めながら、へらへらと笑う。
化物の存在に対し、さも当然かのように受け止める。
いや、どちらかというと─────"刺激的"な物に対し、どこか興奮を覚えている様子で。

[メイン] 根津 次郎 : 「ああ、物的証拠はどこにもねぇからな……だが」

[メイン] 根津 次郎 : ここで、眉を顰める。
女将が犯人ってなると……次の標的はおそらくは……。

[メイン] 根津 次郎 : どんぎつねさんだろ。
ここに新しい旅館を建設する予定の経営者が殺されたんだ。

[メイン] 根津 次郎 : そうなりゃ……その関係者の命が狙われたっておかしくはねぇ。
……ワンチャン、もはや数分の命……助からねぇってこともあり得るかもしれねぇ。

[メイン] 根津 次郎 : そいつァ─────なんとしても、防がねぇとな。
俺は、あの人の涙を見ちまった、あの無念の涙をな。

[メイン] 根津 次郎 : 男ってのは、よえー生き物だ、全く。

[メイン] 根津 次郎 : 「おいアキ、お前警察のもんだろ?ならよォ
 集まり切った"アリバイ"からよ、考えられるもんはあんだろ?」

[メイン] 早川アキ : 「………所詮推定だがな」

[メイン] 根津 次郎 : あくまでそのスタンスってか。
ま、そりゃそうだわな。

[メイン] 根津 次郎 : 問題ってのは、訂正する道具がねぇから問題なんだ。
その道具が見つからねぇ限りは、問題は問題のままだ。

[メイン] 根津 次郎 : だが、それじゃあ話にならないな。

[メイン] 根津 次郎 : 「口動かしても事件は解決しねぇ
 ─────行こうぜアキ、俺達もさらなる調査だ」

[メイン] 根津 次郎 : 「それがはえーだろ?」
ニヤリと笑いながら。

[メイン] 根津 次郎 : 足動かした方が、いずれ分かるだろう?真実ってやつが。

[メイン] 早川アキ : 「…だな、わけのわからない化け物が歩き回ってる、なんて最初は考えてなかった」

[メイン] 早川アキ : 「それを前提にして、もう一回最初から……鬱陶しいが、それが仕事だ」

[メイン] 根津 次郎 : ─────その時、嫌な視線を感じた。
自分達しかいないこの部屋だというのにも関わらず。

[メイン] 根津 次郎 : 「………アキ」

[メイン] 根津 次郎 : 口元に人差し指を立てながら、静かに、という合図を。

[メイン] 早川アキ : 「……」

[メイン] 根津 次郎 : そして、ゆっくりと─────扉の方へと、視線を向ける。

[メイン] 早川アキ : 頷き、そっと背負った剣へと手を伸ばす

[メイン] 根津 次郎 : 明日という日は、今日を迎える準備をしている者のためにある。

[メイン] 根津 次郎 : さぁ何が来る?どんなバケモンだ?

[メイン] 根津 次郎 : 何が来たっていいぜ?俺はとっくに準備をしている。

[メイン] 根津 次郎 : レストインピースまで行こうぜぇ?

[メイン]   : 『ガラッ!』部屋の扉を勢いよく開ける音が響く。

[メイン] 根津 次郎 : 根津もまた、懐に隠してある爆弾に手を添えながら、"それ"を迎える。

[メイン] 根津 次郎 : 「……………は?」

[メイン] 刑事 : 「む…」
そこにいたのは小さな少女で、じろっと室内のアキを睨む。

[メイン] 根津 次郎 : 「倶利伽羅天童!?」

[メイン] 早川アキ : 「…なんだ、あんたか」

[メイン] 刑事 : 「容疑者がいると聞いて来てみたら──公安退魔特異4課の人じゃないですか。その格好を見るに休暇ですか?呑気なものですね」

[メイン] 根津 次郎 : 唖然とした表情になる。

[メイン] 早川アキ : 「…なんだよ、倶利伽羅天童って」

[メイン] 根津 次郎 : さささっ!と爆弾を懐の奥へと隠す。

[メイン] 刑事 : 「……?」
視線を次郎の方に向ける。

[メイン] 根津 次郎 : 「え?あ、え?」

[メイン] 根津 次郎 : あ……そうじゃん。

[メイン] 刑事 : 『どこかでお会いしたことが?』といった視線だ。

[メイン] 根津 次郎 : 怪盗ラットとしての面識はあるけどよ。
……根津次郎としての面識、ねーじゃんっ!

[メイン] 根津 次郎 : 「あ、あーーーー……あれっすよ!あれ!」

[メイン] 根津 次郎 : 「新聞で見ました!活躍!いやーーー、まさか生で見れるとは思わなかったなァ~~~~~!!!」

[メイン] 根津 次郎 : 頭の後ろに腕を回し、へらへらと笑う。
冷や汗を垂らしながら。

[メイン] 根津 次郎 : ほんの少し、顔をしかめながら。

[メイン] 刑事 : 「……」
そんな次郎に対し、違和感を抱くような表情をしつつも視線を再びアキの方に向ける。

[メイン] 根津 次郎 : ……セェエエーーーーーーーーーーーーーーーフ!!!!

[メイン] 刑事 : 「まったく、こっちは怪盗ラットを追っていて忙しい身だというのに、人員が足りないからと呼ばれていい迷惑ですよ」
ブツブツと文句を言っている。

[メイン] 根津 次郎 : 「……ピィ~♪ピィ~♪」
怪盗ラット、という単語に一瞬反応しながらも
そっぽを向いて口笛を吹く。

[メイン] 根津 次郎 : 時間が空いたなら嘆くことにしよう。 今のところは、生き残るのが先だ。

[メイン] 刑事 : 「それで、容疑者のあなたは何か事件の手がかりは掴んだのですか?」

[メイン] 根津 次郎 : ちらりと、アキの方を見やる。

[メイン] 早川アキ : 顔を顰め、淡々と答える

[メイン] 早川アキ : 「アリバイを追っていった結果、容疑者候補は見つかったが。物的証拠は何も掴んでいない」

[メイン] 早川アキ : それと……

[メイン] 早川アキ : 「怪物が絡んでる可能性があるらしい」

[メイン] 刑事 : 「なるほど」

[メイン] 刑事 : 「つまりあなたの、公安退魔特異4課の仕事というわけですね」

[メイン] 早川アキ : 「そういうわけだ」

[メイン] 刑事 : 「それなら私が出る幕ではありませんね」

[メイン] 根津 次郎 : ………!!!!

[メイン] 刑事 : 「お任せしますよ。せいぜい自分の容疑を晴らして下さい」

[メイン] 根津 次郎 : よっしゃあああああああああああああああ!!!
ホッとしたああああああああああああ!!!

[メイン] 根津 次郎 : あっぶねぇええ~~~~~!!
この刑事、俺を結構追い詰めることができるくらい有能だからよォ~~~。

[メイン] 早川アキ : 「わかってる、忙しいところご苦労様です」

[メイン] 根津 次郎 : ここで協力するなんて言ったら、俺もう下手に動けなくなるからなァ~~~~。

[メイン] 根津 次郎 : 「お勤めご苦労さんッス!」
しゅば!と敬礼ポーズ。

[メイン] 刑事 : じろっと次郎の方を盗み見て

[メイン] 根津 次郎 : うげへ。またあの目だ。

[メイン] 根津 次郎 : 冷や汗が根津の首筋を伝う。

[メイン] 根津 次郎 : 「……な、なんスか?」

[メイン] 刑事 : 「いや、なんでもない」

[メイン] 刑事 : 「…似ているが…気のせいか?」
顎に手を当てブツブツ言いながらその場を去って行く。

[メイン] 根津 次郎 : 「………ホッ……」
めっちゃ安堵をし、胸を撫で下ろしながら。

[メイン] 根津 次郎 : 額の汗を拭い取り。

[メイン] 根津 次郎 : 「……と、とりあえずアキ!俺は……どんぎつねさんとこにもう一回向かうぜ!」

[メイン] 根津 次郎 : じゃあな!と部屋を出て行く。

[メイン] 早川アキ : …自身も考え込みながら部屋を出る

[メイン] 早川アキ :  

[メイン] 根津 次郎 :  

[メイン] 根津 次郎 :  

[メイン] 根津 次郎 : 邪魔者が入りつつも、どうにか一つの結論にたどり着いた一同。
これで間違いない、犯人はこいつだ!

[メイン] 根津 次郎 :  

[メイン] ホンゴウ : 懐から電伝虫を取り出し、見知った顔に連絡する。

[メイン] ホンゴウ : …もし、もしだ。この一件が自分たちで対処しきれなかった場合を想定し、次の一手を打っておかねばならない。

[メイン] ホンゴウ : 幸いなことに事前にここに来ることは伝えてあった。おそらく来てはくれるだろう…間に合うかは別として、だが…

[メイン] ホンゴウ : 「……もしもし、お頭か?実は────」

[メイン] ホンゴウ :  

[メイン] どんぎつね : 『ぐすっ…』

[メイン] どんぎつね : 自分が泊まっていた部屋は現場検証のため入れてもらえず、亡くなった旦那様の遺体も見ることができず──今は女将さんに用意してもらった別の部屋で一人泣いていた。

[メイン] どんぎつね : 旦那様…私がくだらないことで喧嘩したばっかりに──
どうして天ぷらそばを食べるくらいのことを許せなかったのか、大切なものを失ってから自分の愚かさに気づいてしまった。

[メイン] どんぎつね : 探偵さんたちが旦那様の仇を討つと言ってくれたけど、仮にそれが成されたとしても、もう旦那様は私の元へは戻ってこないのだ。

[メイン] どんぎつね : 「うぅ…ぐうぅぅ──」
色々な思いが去来し涙が止まらなくなる。

[メイン]   : ズル…ズルル…

[メイン]   : その泣き声の主の元へ、なにかが廊下を這いずるってくる。

[メイン]   : コンコン

[メイン] どんぎつね : 扉をノックする音に俯いていた顔を上げる。

[メイン] どんぎつね : 女将さんだろうか、それとも探偵さんたち…?

[メイン] どんぎつね : 泣いていたとわからないように袖で涙をぬぐう。
「…どうぞ」

[メイン]   : ………

[メイン] どんぎつね : 「………?」

[メイン] どんぎつね : 聞こえなかったのでしょうか?
もう一度『どうぞ』と扉の向こうへ声をかける。

[メイン]   : ………

[メイン] どんぎつね : おかしいなと思いながらも立ち上がり、ドアノブに手をかける。

[メイン] どんぎつね : "おかしい"と思ったのならやめるべきだったのだ。
だってまだ旦那様を殺した殺人犯は捕まっていないのだから。
私は悲しみと後悔から正常な判断を失っていた。

[メイン] どんぎつね : ──ガチャリ、扉を開ける。

[メイン]   : その先にいたのは、玉虫色に光る黒い粘液みたいなもの。

[メイン] どんぎつね : 『………え?』と思ったときにはもう遅く、目の前の"ソレ"は尖らせた触手を私に向かって──

[メイン] 根津 次郎 : 「─────させるかよォォオオオオッッッ!!!!!」

[メイン] 根津 次郎 : その巨大な粘液の後ろから、軽やかに飛び上がる一人の少年。

[メイン] 根津 次郎 : そして宙で回転し─────どんぎつねの下へと、触手よりも早く着地し。

[メイン] 根津 次郎 : 「ちょいと失礼するぜ!!エスコートにはちっと自信はねーが!
 あんまし文句とか言わねーでくれると助かるぜ!!」

[メイン] 根津 次郎 : どんぎつねの腕を掴み、そのままこちらの方へと、グイッ!と強引に寄せる。

[メイン] 根津 次郎 : そのまま、腰を支えるように手を添え
どんぎつねの体を、お姫様抱っこの形で持ち上げる。

[メイン] 根津 次郎 : 冷や汗によって、背中がびっちりと濡れながらも
虚勢を張るように、ニッ!とどんぎつねと目を合わせながら笑う。

[メイン] どんぎつね : 「…え!?わ、わわわ!!???」
混乱しているところに、さらに混乱することが重なる。

[メイン] 根津 次郎 : 「話はあとだ!!」

[メイン] 根津 次郎 : そして─────振り返り。

[メイン] 根津 次郎 : 「悪ぃが……コイツの処理!頼んでもいいかァ!?」

[メイン] 根津 次郎 : ─────遠くへと、叫ぶ。

[メイン] ホンゴウ : 任せろ、と言わんばかりに飛来する一つの影

[メイン] ホンゴウ : 「────ぉぉぉぉおおおおおおお!!!」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「────OK!」

[メイン] ジョン・メイトリックス : ズトン!と化物を撃ち抜く

[メイン] ホンゴウ : 高速の振動によって高温を発する棒によって粘液の怪物は振り払われる

[メイン] 早川アキ : 左右の真っ端を耳に
真ん中の三指を鼻に擬えて

[メイン] 根津 次郎 : 現れる三つの影に、口角が吊り上がる。
全く、本当にこいつらは……頼りになり過ぎるぜッ!!

[メイン] 早川アキ : 化け物を通す様に、見つめると

[メイン] 早川アキ : 「コン」

[メイン] 根津 次郎 : 根津は、どんぎつねを安全な場所へと運ぶために
学生とは思えほど高い身体能力で、戦地を繰り抜けて行く。

[メイン] : 巨大な狐の首が突如出現し
怪物を噛みちぎろうと歯を煌めかせる

[メイン] ホンゴウ : 「行くぞてめェら!一応こっちで頼りになるのに連絡はしといたからこの場で三人死んでもどうにかなる!」

[メイン] 根津 次郎 : もう二言目なんていらねぇだろ?
なんせこいつらはよォ~……俺が、友として認めた男達だぜ?

[メイン] 根津 次郎 : 化物に負けるわけがねぇだろうが!

[メイン] 早川アキ : 「死ぬ前にどうにかするぞ、俺はまだやりたい事があるんだ」

[メイン] ホンゴウ : 息を吸い、冷静に状況を分析する…まず気を付けるべきは、正体不明の毒か

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「これ以上誰も死にはしない、死ぬのは奴らだけだ」

[メイン] ホンゴウ : 「二人とも気を付けろよ、あいつの触手に触れて毒でも貰ったら今は治療してやれねェ」

[メイン]   : 玉虫色の怪物は、粘液でできたその身体を膨らませ、現れた3人を取り込もうとする。

[メイン] 早川アキ : 「チッ……もう少し削らないと、狐でも飲みきれないぞ」

[メイン] ジョン・メイトリックス : すかさずロケットランチャーで応戦する、が

[メイン] ホンゴウ : 鈍重ながらも確かな威圧感を感じさせるその光景に動じることなく、距離を離す……が、当然それでは埒が明かない

[メイン] ジョン・メイトリックス : 飛散はするが手ごたえが薄い

[メイン] ホンゴウ : 「……いまいち手ごたえが無いな。物理的な干渉はあまり得策じゃないのか?」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「…チィッ!」

[メイン]   : 3人の猛攻にまったく怯むことなく、さらに触手やかぎ爪を伸ばす。

[メイン] ホンゴウ : それを弾き、さらなる攻撃を試みるも、その不定形の体への手ごたえを感じることが出来ず。

[メイン] ホンゴウ : 「……チッ、生憎他の面子と違って武装色は不得手なんだよ!医者だぞおれァ!」

[メイン]   : ずるりずるりと少しずつ距離を詰めていく。

[メイン] 早川アキ : 迫る触手を避け、時に切り払いながらも、確かな打開策を打ち出せず
逃げ惑う羽目になる

[メイン] ホンゴウ : 「クソっ!相手の体の構造上おそらく高温が苦手だと推測できるがここじゃあ火なんて使えねェしな!」

[メイン] ホンゴウ : 医者として生物の構造に詳しくなり、海においても様々な生き物を見てきた彼は弱点と思わしき点を見抜く…が、その弱点を突く方法が無い

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「……」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 突然、ジョンが立ち止まり

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「来やがれ、化け物」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 仁王立ちで構える

[メイン]   : ジョンのその言葉に応えるように巨体が襲いかかる──

[メイン] ジョン・メイトリックス : そして、体の半身が化け物に飲み込まれる…

[メイン] ジョン・メイトリックス : ……だが!

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「お前が液体だって言うなら…」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「こいつは効くはずだ!」

[メイン] ジョン・メイトリックス : コンセントに、ナイフをツッコみ!

[メイン] ジョン・メイトリックス : 自分ごと感電させる!

[メイン]   : バチリッ!!!

[メイン]   : 突然の衝撃に、玉虫色の怪物はうめき声を上げジョンを吐き出す。

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「────ッッ!!!」

[メイン] ホンゴウ : 「悪いなジョン!治療は後だ!気合で耐えろ!」

[メイン] ホンゴウ : 雷が効くことを確認するや否や、懐に忍ばせていた液体状の薬をばら撒く

[メイン] 早川アキ : 「アイツ、普通の人間だろう。さっさと引き離した方が…」

[メイン] ホンゴウ : 「多分平気だ!それより…」

[メイン] ホンゴウ : 周囲を確認し、奴の巨体によって破壊された跡を見る

[メイン] ホンゴウ : 「やっぱりあったな!むき出しの電気線が!」

[メイン] ジョン・メイトリックス : ホンゴウの言葉に反応し

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「……うおおおおおおおおお!!!」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 吐き出されても気合で化け物を少しでも掴む

[メイン] ホンゴウ : 次から次へと液体を床にばら撒き、壁にぶちまけ、その破壊跡へと繋いでいく

[メイン] ホンゴウ : 「……よし!これで床一面が通電した!あとは…」

[メイン] ホンゴウ : 「アキ!あの怪物をどうにかここまで引っ張ってこれるか!」

[メイン] 早川アキ : 「力仕事をさせると拗ねるかもしれないが……“コン”!!」

[メイン] : また首だけの巨大な狐が現れ、液体状の化け物を引き摺っていく

[メイン] ホンゴウ : 「もういいぞ!さっさと出てこいジョン!お前まで感電するぞ!」

[メイン]   : 怪物はのたうちながらも引きずられていく。

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「……っはあ!!ハアッ…ハアッ…」
なんとかナイフを離し、ホンゴウ達の方に向かっていく

[メイン] ホンゴウ : ジョンの手を取り引きずって離れつつ…アキの狐がキルゾーンへと怪物を運ぶのを確認する────瞬間。

[メイン] ホンゴウ : 高圧の電流を流された怪物の肉体は組織崩壊を起こし……高温によって炎上する

[メイン] ホンゴウ : 「………狙い通り…か?」

[メイン]   : 燃え上がる怪物。その炎は旅館にも燃え移っていく。

[メイン] 早川アキ : 「まずい、燃え広がってるぞ…!!」

[メイン] ホンゴウ : 「しまった…ここまで可燃性を持った不定形だとは…!」

[メイン]   : 「************!!!!!」
怪物は絶叫を上げている。

[メイン]   : 「きゃあああああああ!!!!」

[メイン]   : その絶叫をかき消すように一人の女性の悲鳴が上がる。

[メイン] 早川アキ : 「あの声は…!?」

[メイン] ホンゴウ : 「チッ…!悪いが今はジョンの火傷の治療で手が離せないんだ…!」

[メイン]   : その声を一度聞いたことがあるだろう。

[メイン] 女将 : あなた達の背後に声の主──女将が立ち尽くしていた。

[メイン] 女将 : 「わた、私の、旅館が──」

[メイン] 早川アキ : 「避難してください、ここはもう危険です」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「旅館…今はそれどころじゃ…」

[メイン] ホンゴウ : 「…よしっ!応急処置終わりだ!痛みは残ってるだろうが走れる!」

[メイン] 女将 : アキとジョンの警告を無視して、フラフラと火元へと向かっていく。

[メイン] 女将 : 「こんな、こんなはずじゃ…どうして…?」

[メイン] 早川アキ : 「ッ! 危ないって言ってるだろう!!死ぬ気か!?」

[メイン] 女将 : 「旅館が…私の旅館が…」

[メイン] ホンゴウ : あー……と少しバツの悪そうな表情を浮かべる
呼び出してこうなったのは自業自得とはいえ…なんか申し訳ねェな…

[メイン] ホンゴウ : 「…アキ、助けるか?多分無理矢理じゃないと止まらないぞあれ」

[メイン] 女将 : 足を止めず、ゆっくりと火元へ。

[メイン] 早川アキ : 「……」

[メイン] 早川アキ : 「化け物を呼び出して、大事な物の為でも。あの人は命を奪った」

[メイン] 早川アキ : 「助けたいが、できない」

[メイン] 早川アキ : 「だから」

[メイン] 早川アキ : 「あの人には償わせる」

[メイン] 早川アキ : 「大事な物を奪われても、取り返せなくても生きる気持ちを、あの人にも味わってもらう」

[メイン] 早川アキ : そういうと、女将の元へと走り
無理やり手を掴む

[メイン] 早川アキ : 「一緒に来てもらうぞ」

[メイン] 女将 : 「はなして、はなして…」
イヤイヤと首を左右に振る。

[メイン] ジョン・メイトリックス : フウ、と一息つき

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「時間がないな…全員その場で伏せろ!」

[メイン] ホンゴウ : 「ちょっと待て何する気だ!?」
言葉に従い伏せながら聞く

[メイン] ジョン・メイトリックス : そういうとロケランを取り出し

[メイン] ジョン・メイトリックス : 壁に向けて

[メイン] 早川アキ : 「なっ!?」

[メイン] ジョン・メイトリックス : ボシュウウウウ…

[メイン] ジョン・メイトリックス : チュドオオオオォン!!

[メイン] ジョン・メイトリックス : パラ…パラ…

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「……この手に限る」

[メイン] ホンゴウ : 「……この手しか知らねェんだろ」

[メイン] 女将 : その音の方を振り向くと──

[メイン] 早川アキ : 「クソッ……巻き込まれたらどうするんだ」

[メイン] 女将 : 「きゅうぅぅ…」
白目を剥いてその場に倒れる。

[メイン] ホンゴウ : 「………短時間に強いショックを受け続けたことによる一時的な意識障害…要するにストレスでぶっ倒れてるな」

[メイン] 早川アキ : 「…抱えて逃げるしかないか」

[メイン] 早川アキ : 女将を背負い

[メイン] 早川アキ : 「撤収!! 道中で逃げ遅れた人を見のがすなよ!!」

[メイン] ホンゴウ : 「よし!行くぞジョン!」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「ああ」

[メイン] ホンゴウ : そうして燃え上がる旅館から男三人脱出する。……と、そこに一つの人影が

[メイン] シャンクス : 「ようホンゴウ、随分とエキセントリックな観光をしていたみたいじゃないか」

[メイン] ホンゴウ : 「………来るのが遅ェよ、お頭」

[メイン] シャンクス : フッ…と笑い、右腕に力を籠める。

[メイン] シャンクス : 「……失せろ!」

[メイン] シャンクス : すさまじい剣圧を持って、背後の旅館の火事をすべて吹き飛ばす。……そして、それだけやって笑って帰っていった

[メイン] ホンゴウ : 「……いいとこだけ持ってきやがった…」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「…凄いな、お前の所のお頭っていうのは」

[メイン] 早川アキ : 「……とはいえ、旅館は半壊か」

[メイン] 女将 : アキの背中の上で寝息を立てている。

[メイン] ホンゴウ : 「……命あっての物種とも言う。犯した罪は消せないが…償わせることはできるだろ」

[メイン] ホンゴウ : はァ…とため息をつく。そういや根津はどこ行ったんだ?

[メイン] 根津次郎 :  

[メイン] 根津次郎 :  

[メイン] 根津次郎 : ─────一方。
根津はというと、どんぎつねを抱えたまま、旅館の火事に避難すべく
そのまま外へと駆け出していた。

[メイン] 根津次郎 : その日は、満月がよく見える、雲一つ無い綺麗な夜空であった。

[メイン] 根津次郎 : 「ぜぇ……ぜぇ……へへ、ここなら安全だぜ?お姫様」

[メイン] 根津次郎 : 滝のように汗をかきながら、ゆっくりとどんぎつねを降ろす。

[メイン] 根津次郎 : そして、根津が通った跡には─────血の痕が、続いていた。

[メイン] どんぎつね : 「わっ!?とっ、とと…」
さっきからずっと驚きっぱなしで、心臓がドキドキしていた。

[メイン] 根津次郎 : どんぎつねが触手によって攻撃を食らう、ほんの一瞬の隙に割り込み
そして彼女を抱え、その場から去ったわけだが。
少し、相手を見縊り過ぎたのかもしれない。

[メイン] 根津次郎 : 根津の背中には、まるで火傷のような痕が、びっしりと。

[メイン] 根津次郎 : しかし、それを見せまいと気丈に振る舞い
どんぎつねに、余裕そうな笑みを見せていた。

[メイン] 根津次郎 : 「怪我はねーかい?」

[メイン] 根津次郎 : 腰に手を当て、へらへらと笑う。

[メイン] 根津次郎 : 自分のことながら、どこか他人事のように
今回は、中々冒険しちまったな、と思った。

[メイン] どんぎつね : 「は、はい。おかげさまで…」
胸に手を当てつつも、平気をアピールする。

[メイン] 根津次郎 : 俺は、怪盗だ。スリルを求め、夜の中を駆け巡っている。
誰の手にも届かないように密閉された箱の中にある宝石を手にするっつー
他の誰にもできねぇようなことをすることを、俺の生き甲斐としているくらいに
まぁ、俺は、狂っているよ。

[メイン] 根津次郎 : そんな俺だからこそ、美学ってもんも生まれちまったんだろうな。
怪盗やってる内に、鮮やかさだとか、綺麗さだとか、そういうのを求めるようになってよ。

[メイン] 根津次郎 : だから、このどんぎつねが……あのまま死に行く運命ってのを
なんつーか、分かってんのに止めないっつー、綺麗じゃねぇことを
俺はしたくなかったのかもな。

[メイン] 根津次郎 : 「それなら良かったぜ」
にっ、と優しい微笑みを向けながらも……。

[メイン] 根津次郎 : 「─────おっと」

[メイン] 根津次郎 : ぐらりと、意識が遠のきそうになる。

[メイン] どんぎつね : 「あの…助けていただいてありがとうございまし……」
倒れそうになる次郎が目に入り──

[メイン] 根津次郎 : やべぇ……血が、酸素が、足りねぇ……。

[メイン] どんぎつね : 「──ッ!」
とっさに手を伸ばす。

[メイン] 根津次郎 : 「─────!!……へへっ、悪いな……
 ……ちょっと、今のはダサかったか?」
へらへらと笑いながらも、額には誤魔化し切れない程の脂汗が滲んでいた。

[メイン] どんぎつね : その汗を見て、さすがに気づいてしまう。

[メイン] どんぎつね : 次郎をぐいっと引っ張り上げ、背中に手を回したとき、ぬるりとした感触。

[メイン] どんぎつね : 「………」

[メイン] 根津次郎 : 「あ……やべ」

[メイン] 根津次郎 : 苦笑いを浮かべる。

[メイン] どんぎつね : 「…どうして?何でこんなになってまで…?」

[メイン] 根津次郎 : 「…………へへ、どうして、か……
 ……それなら……そうだな……」

[メイン] 根津次郎 : 「……なぁ、例えばだどんぎつねさん
 アンタは……どのくらい、旦那さんを愛していた?」

[メイン] どんぎつね : 『なんでそんなことを…』と思いつつも

[メイン] どんぎつね : 「……言葉にできません。それくらい愛していました」

[メイン] 根津次郎 : その言葉を聞き、表情を緩ませる。

[メイン] 根津次郎 : ─────俺は、怪盗だ。

[メイン] 根津次郎 : 綺麗な物を、貴重な物を、価値ある物を
一切の傷をつけずに、大切に盗み出すことが、使命みたいなもんだ。

[メイン] 根津次郎 : どんぎつねさんの……旦那を、真っ直ぐ愛している。
こんな……綺麗な感情が、化物によって捻り潰されるようなことが
俺は……きっと、許せなかったんだろうな。

[メイン] 根津次郎 : まぁ。

[メイン] 根津次郎 : 怪盗だからです。なーんてことは言えねぇんだけどな。

[メイン] 根津次郎 : じゃ、何が言えるかってハナシだが……もう、意識がやべーな。

[メイン] 根津次郎 : 「……アンタを護りたかった」

[メイン] 根津次郎 : 「アンタの涙は、ダイヤモンドよりも綺麗だった」

[メイン] 根津次郎 : 「それだ、け……だ……」
う、あ………目の前が、真っ暗に……。

[メイン] 根津次郎 : だからって、火中の栗を拾う馬鹿がいるかよって、話、だよ、な……。

[メイン] 根津次郎 : ……恰好、つかねぇ……な……。

[メイン] どんぎつね : 「………」

[メイン] どんぎつね : 意識が薄くなっていく次郎を背中に背負うと、近くの病院へ向かって走り出す。

[メイン] 根津次郎 : もはや、虚ろとなる意識の中、振動だけが根津に伝わる。

[メイン] どんぎつね : 怪我を負わせてしまった罪悪感からか、それとも、これ以上喪失感を味わうのはいやだったのかはわからないけど、ただ必死で──

[メイン]   : 「…待ちなさい」

[メイン] どんぎつね : 「…!」
急に声をかけられ、足を止める。

[メイン] 倶利伽羅天童 : 「血の匂いがしたから来てみたのですが…怪我人ですか?」

[メイン] 倶利伽羅天童 : じろりと、どんぎつねと、その背中の人物を交互に見る。

[メイン] 根津次郎 : もはや考える気力すら残されていない根津であったが。
光の失った眼で、現れた少女を捉える。
こんな死期があるかよと、冷たくなる体温の中。

[メイン] 根津次郎 : へらりと、笑う。
それは─────"怪盗ラット"のそれと、同じであった。

[メイン] 根津次郎 : どんな危機的状況下でも、不敵な笑みを絶やさない。

[メイン] どんぎつね : 「は、はい!大けがをしているんです!」

[メイン] 倶利伽羅天童 : すんすんと鼻を鳴らす。

[メイン] 倶利伽羅天童 : この匂いは──

[メイン] 倶利伽羅天童 : 「……それなら向こうに良い医者がいるので行くといいですよ」

[メイン] どんぎつね : 「どなたか存じませんが、あ、ありがとうございます!」
ぺこりとお辞儀をして、教えてもらった方向へ走り出す。

[メイン] 根津次郎 : ─────。

[メイン] 根津次郎 : ─────……借りが………できちまった……な。

[メイン] 倶利伽羅天童 : 走り去る2人の背中を見つめる。

[メイン] 根津次郎 : 吊り上げた口角は、そのままであった。

[メイン] 倶利伽羅天童 : 「……手負いの獣を襲うのは趣味ではありませんからね」

[メイン] 倶利伽羅天童 : 「さて、あちらはどうなったのでしょうね」

[メイン] 倶利伽羅天童 : 今は怪盗を追うのではなく、殺人事件の捜査をしている立場。
旅館が炎上したとの報を聞いて、その場へ向かっていた途中だった。

[メイン] 倶利伽羅天童 : 「彼にはまた事情を聞く必要がありそうですね」
嫌そうな顔をしているアキを想像しつつ、夜の闇へと消えていくのだった。

[メイン] ジョン・メイトリックス :  

[メイン] ジョン・メイトリックス :  

[メイン] ジョン・メイトリックス : ……事件が終わった後、ジョンは再び旅館にいた

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「……」

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「これは…地下通路か」

[メイン] ジョン・メイトリックス : ……彼は疑問を抱いていた

[メイン] ジョン・メイトリックス : あの時現れた化け物は黒い液体を垂らしていた

[メイン] ジョン・メイトリックス : なら

[メイン] ジョン・メイトリックス : ”緑の液体”は一体何処に…?

[メイン] ジョン・メイトリックス : …日誌がある、血まみれで殆ど読めないが…

[メイン] 支配人の日記 :  

[メイン] 支配人の日記 : ●月×日

[メイン] 支配人の日記 : しまった、奴らが脱走した

[メイン] 支配人の日記 : マズイ、このままではこの旅館も研究も私の人生も全ておしまいだ

[メイン] 支配人の日記 : ……いや、そうだ

[メイン] 支配人の日記 : 借金をでっち上げこの旅館を手放そう、そうすれば私の人生はまだ

[メイン] 支配人の日記 : ……これ以降は汚れていて読めない

[メイン] : ピタッ…ピタッ…

[メイン] エイリアン :  

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「……」

[メイン] ジョン・メイトリックス : この支配人がどうなったか、そんな事はどうでもいい

[メイン] ジョン・メイトリックス : だが

[メイン] ジョン・メイトリックス : こいつ等は俺達の休暇を潰した

[メイン] ジョン・メイトリックス :  

[メイン] ジョン・メイトリックス :  

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「望みは一つだけだ」

[メイン] ジョン・メイトリックス :  

[メイン] ジョン・メイトリックス :  

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「今すぐ貴様を」

[メイン] ジョン・メイトリックス :  

[メイン] ジョン・メイトリックス : 「地獄に落とすことだ……!」

[メイン] ジョン・メイトリックス :  

[メイン] ジョン・メイトリックス :  

[メイン] GM :  

[メイン]   : 数日後、あなた達の元へ手紙が届く。
その差出人は"N"。中を開くと──

[メイン]   : 『筋書きがない物語も面白いものだね。なかなか楽しませてもらったよ』

[メイン]   : 『次の物語も楽しみにしているよ』

[メイン]   : 『また逢えることを心より願って』

[メイン]   :  

[メイン]   :